全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、若年性特発性関節炎(JIA)や炎症性腸疾患(IBD)罹患女性患者の妊娠、出産を考えた治療指針に関する疑問にお答えします。
生まれてきた赤ちゃんに対して、特に注意することはありますか?
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1)全身性エリテマトーデス
全身性エリテマトーデス合併妊娠では赤ちゃんにお母さんと同じような症状が出現することがあります(新生児ループス)。症状として不整脈や、皮膚症状、血液中の細胞が減少する汎血球減少(赤血球、白血球、血小板の減少)が起こることがあります。不整脈以外の症状は一過性で生後1年までに自然に治癒します。不整脈を合併した場合は生後ペースメーカーの植え込みが必要となることが多いです。赤ちゃんの合併症があるため、出産は小児科医もいる高次医療機関(総合周産期センター、地域周産期センターなど)ですることが望ましいです。
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2)関節リウマチ、若年性特発性関節炎、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)合併妊娠
赤ちゃんが同様の症状を発症することはありませんが、使用している薬の影響は考慮する必要があります。また、関節リウマチでは抗SS-A抗体が陽性の場合は全身性エリテマトーデス合併妊娠の項目に記載されているような対応が必要となります。
妊娠中に生物学的製剤(抗TNFα阻害剤:p.52参照)を使用している場合、その影響が数か月残る可能性があり、赤ちゃんが感染に弱くなる可能性があるので予防接種については注意する必要があります。BCGやロタウイルスワクチンなどの生ワクチンは生後6か月以内の接種を控えたほうがいいでしょう。